アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネート(13部門)を果たし、全6部門を受賞した話題作
海外では2016年ナンバー1映画と評価する人も多く、英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞など、各映画賞をことごとく受賞。
日本時間の2月27日に授賞式が行われた第89回アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネート(13部門)を果たし、監督賞、主演女優賞など全6部門を受賞し、主演の二人がライアン・ゴズリングとエマ・ストーンという超人気ハリウッドスター。
といった具合に超弩級のふれ込みで2/24から公開された本作ですが、実際に観てきた感想を書きたいと思います。(若干ネタバレがあるかも)
スポンサードリンク
ストーリーは中の下
あらすじはというと、夢追い人が集まる街、ロサンゼルス(LALALAND)。
映画スタジオのカフェで働くミア<エマ・ストーン>は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。
ある日、ミアは場末のバーでピアノを弾くセバスチャン<ライアン・ゴズリング>と出会う。
彼はいつか自分の店を持ち、本格的なジャズを思う存分演奏したいと願っていた。
やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合うがセバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことから、二人はすれ違い始める―。
といったいかにもありきたりなストーリーです。
しかし、本作がこれだけ評価されているのはミュージカル映画として映像や音楽をひっくるめて評価されているからです。
ストーリーは置いておいて「綺麗な映像や素晴らしい衣装が観たい!」「心地よい歌や音楽が聞きたい!」という方は観るべきです。
間違いなくおすすめできます。
個人的おすすめポイント!
先に書かせていただいたように、ストーリーは並以下だし、別に綺麗な映像にもそんない興味がない人は観ない方が良いかと言うとそんなことはありません!
映画として目をみはるべき箇所はたくさんあります。
その中でも個人的に特に注目して欲しいところをご紹介したいと思います。
噂のオープニングのダンスシーン
実際に本作を観る前に、テレビなどのメディアで「オープニングのハイウェイで踊るシーンが素晴らしい!」ということを見聞きしていました。
ハードルが上がり過ぎていたこともあり、世間で騒がれているほどオープニングではそこまで感動しませんでした。
それでも、ロサンゼルスのハイウェイを通行止めにし、限られた時間の中、あれだけ長いワンショットを一人もミスせず撮り切るための事前の努力と執念は推して測るものがあり、オープニングからこの映画への期待感を高めてくれます。
新進気鋭デイミアン・チャゼル監督の演出の数々
この映画の上映時間は126分と短くありません。その上、ありきたりのストーリーともなれば退屈になりがちです。
ですが、この映画はテンポの良さと演出や見せ方によって、あっという間にエンディングを迎えます。
ここがデイミアン・チャゼル監督のスゴさだと思います。
この監督は、前作でアカデミー賞5部門にノミネートされた「セッション」で一躍注目を集めた監督で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
チャゼル監督の経歴はといいますと、幼い頃から映画を作ることを夢見ており、高校時代はミュージシャンになろうして音楽に明け暮れ、大学はハーバード大学の視覚環境学部で最先端の映画製作方法を勉強するという、まさに音楽映画を撮るためにあるような人です。
さらに前作「セッション」で映画監督としての才能に疑いの余地がないことは既に証明されています。
そんな監督が繰り出すありとあらゆる撮り方、
見せ方に注目するだけでも十分に楽しめます。
また本編内に過去の映画の様々なオマージュなどが散りばめられており、監督の映画や音楽への愛が溢れています。
映画が好きな方ならこういった場面を探すのも楽しいと思います。
噛ませのための曲が良曲すぎて噛ませになりきれていない(笑
セバスチャンがジャズバー開業の資金を得るために渋々加わるバンドで演奏される曲は、ザ・メッセンジャーズが演奏する楽曲『START A FIRE』です。
バンドへ勧誘するバンドのリーダーであるキースを演じるグラミー歌手ジョン・レジェンドが制作したこの曲は映画のサントラにも入っていますが、ラジオのヒットチャートから流れてくるような良曲です。
劇中のライブのシーンではノリノリの観客の中、ミアだけが戸惑いの表情を浮かべますが全く感情移入できません。
この曲が良曲すぎてむしろノリノリの観客側の気持ちになってしまうからです。
キースは、ジャズの名プレイヤーの名を挙げながら「彼らは革新者だった」と言い、「音楽は常に新しいものを取り入れて進化しなければならない」と語りますが、これは本当に説得力がありセバスチャンが間違ったことをやろうとしているように見えてきます。
キースが有能すぎて、最終的にもうずっとこのバンドで良いじゃないという気持ちになってしまいます。
LA・LA・LANDを観終わっての感想
映画を観終わった感想としては、よく映画監督は「自分の作りたいものを作ると興行的には成功しない。
興行的に成功させるためには作りたくないものも作る必要もある」ということを聞きます。
それをセバスチャンに投影しているようにも感じました。
色々な見方ができる楽しい映画なので、是非実際にみてみてください。
コメントを残す